6月上旬、庭の片隅にあさがおの種をまいた。小さな種が土の中で目を覚まし、数日後にはかわいらしい芽が顔を出したのを見たときは、本当にうれしかった。毎朝アイホンを片手にその成長を見守るのが日課になり、葉が一枚、また一枚と増えていく様子に、なんとも言えない喜びを感じていた。
ところが、ある朝、いつものようにあさがおを見に行くと、葉っぱの一部が不自然に欠けているのに気がついた。最初は風でちぎれたのかと思ったけれど、よく見ると、葉の縁がギザギザになっていて、明らかに何かに食べられた跡だった。その日から、あさがおの観察は「成長記録」から「害虫との戦い」へと変わっていった。

調べてみると、どうやらアゲハチョウの幼虫やバッタが原因らしい。朝と夕方、気を付けて見ていたがなかなか姿を見せない。やっと見つけ出して取り除いたがちょっとゾッとした、あさがおを守るためには仕方がない。お箸で、ひとつひとつ取り除いた。

それからは、毎日葉の裏をチェックするようになり、時には水のスプレーを使ってハダニ対策もした。自然の力を借りて、できるだけ農薬に頼らずに育てたいという思いがあったからだ。もちろん、完全に虫を防ぐことはできなかったけれど、少しずつ葉の被害も減っていき、つるも元気に伸び始めた。

そして、ついにその日がやってきた。朝、カーテンを開けると、窓の外にはブルーの花がひとつ、静かに咲いていた。あの小さな種から始まった物語が、ようやく花という形で結実した瞬間だった。虫に食べられながらも、負けずに育ち、咲いてくれたあさがおに、思わず「よく頑張ったね」と声をかけた。
その後も次々と花が咲き始め、毎朝の観察がますます楽しみになった。害虫との格闘は大変だったけれど、その分、花が咲いたときの感動はひとしおだった。自然と向き合いながら育てるということの大変さと喜びを、あさがおが教えてくれた気がする。来年もまた、同じ場所に種をまこうと思う。今度はもっと上手に育てられるように。

