6月上旬、ふと思い立って、ベランダのプランターにあさがおの種をまいた。特に品種にこだわったわけではないけれど、種袋に「青雲」と書かれていたのがなんとなく気に入って、それを選んだ。名前の響きが爽やかで、空に向かって伸びていくあさがおの姿にぴったりだと思ったのだ。
種をまいてから数日後、小さな芽が土の中から顔を出した。朝の光を浴びて、まだ頼りないその双葉がそっと揺れているのを見ると、なんだかこちらまで元気をもらえる気がした。それからというもの、毎朝ベランダに出ては、あさがおの様子を観察するのが日課になった。水をあげながら、「今日はどれくらい伸びたかな?」と話しかけるのが、ちょっとした楽しみになっている。
日が経つにつれて、つるがぐんぐんと伸び始めた。支柱に巻きつく様子はまるで空を目指しているかのようで、まさに「青雲」という名前にふさわしい成長ぶりだった。特に梅雨明け後の晴れた日には、太陽の光をたっぷり浴びて、葉の緑が一層鮮やかに見えた。つるの先端がどこまで伸びるのか、毎日見るたびに驚かされる。
そして、ついに最初のつぼみが現れたときは、本当に嬉しかった。小さなつぼみがふくらんでいく様子は、まるで秘密を抱えているかのようで、開花の瞬間が待ち遠しかった。数日後、朝の光の中でそのつぼみがゆっくりと開き、鮮やかな青紫色の花が姿を現した。まるで空の一部が花になったような、そんな美しさだった。

それからは、時々新しい花が咲くようになった。あさがおは一日花だから、咲いた花はその日のうちにしぼんでしまうけれど、その儚さもまた魅力のひとつだと思う。昨日の花がしぼんで、今日の花が咲く。その繰り返しの中に、季節の移ろいを感じることができる。
今では、ベランダの手すりいっぱいに広がったあさがおの葉と花が、まるで小さな空の庭のようになっている。朝、カーテンを開けてその景色を見るたびに、心がすっと軽くなる。青雲の名の通り、空に向かってまっすぐに伸び、咲き誇るあさがお。その成長を見守る日々は、思っていた以上に心豊かな時間だった。これからも、毎朝の観察を楽しみにしながら、あさがおと一緒に夏を過ごしていこうと思う。

